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音とおもちゃと庭仕事 ~Sound Gift Shop 音賜のブログ~

絵本の手助け~森と子どもの時間~

霜の落ち葉

 木育に関するイベントを控え、ご紹介するのは「森と子どもと、寄り添う大人の時間」を凝縮した写真絵本です。

 私達は、時間・体力・お金・住む土地…様々な制約の中で日々子育てしていますよね。そんな中でも、少しでもこんな瞬間を経験させてあげられたらいいな…と思う時間を、切り取ったような絵本に出会いました。自然と子どもの輪郭が融け合って、つながりあうような瞬間がきらめきます。

子どもと森へ出かけてみればフレーベル館 初版2010年、 写真・ことば:小西貴士さん。

森のようちえんという野外保育の場が写し出されています。生き方や考え方の誇示といった調子ではなく、様々な季節の中で、森と子ども達から溢れ出す輝きを、そっと見守る目撃者の視点でまとめられていました。

森のようちえんのような環境が側になくても、普段の生活の中でも、例えば夜祭りの帰り、秋の夕暮れ、霜を踏む朝の散歩など、ふとした時に、子どもの心の動きに静かに寄り添う辛抱を、厭わなくさせてくれる一冊のような気がしました。

秋が深まる今日この頃、たまの休みにどこに足を向けようか。「連れて行かなきゃ」が「連れて行きたい」に変わると、足取りも軽やかになるかも知れませんね。

 
 

絵本の手助け~いちごばたけのちいさなおばあさん~

露地いちご

露地のいちごが膨らみ始めました。庭では子どもが始終ウロウロ。
「まだなか?」「今日食べられる?」
待ち遠しい時間が宝物のような気がする季節です。

 今日ご紹介するのは、イチゴを赤く染めるのが仕事の小人のおばあさんのお話。
子どもの頃心を踊らされた思い出の絵本のひとつです。実りがうれしいだけでなく、イチゴが色づくまでのコツコツとした途方もない作業が、生産者の苦労と重なります。
作物が実るまでにどれほどの時間と労力がつぎ込まれているかを、実感できる人が少ない時代。大好きなイチゴを通して、そんな人の営みに触れられると良いですね。

いちごばたけの ちいさなおばあさん 福音館書店 初版1973年(こどものとも発行)、1983年こどものとも傑作集、 著者はわたりむつこさん, 絵は「ジオジオのかんむり」「かばくんのふね」などでもお馴染みの中谷千代子さん。
創刊から40年以上経った現在でも販売されています。

 イチゴ畑の土の中に住んでいるおばあさんのお仕事は、イチゴを赤く染めること。
おばあさんがイチゴを染める赤い水を作り、それをイチゴに塗るとあら不思議、甘く美味しいイチゴになります。

ですが季節はずれにイチゴが実り、赤く染める水が足りません。おばあさんは手桶で汲み上げた地下水を、はるばる地上まで運んでおひさまの光をあて…。
途方もない作業の繰り返しの中、不思議とおばあさんに悲壮感はなく、作業はリズムよく淡々と行われてゆきます。

コツコツと積み重ねたものが、いつしか化学反応のように鮮やかな色に変わるさまは、達成感に満ちていて、子ども心に「私もやりたい!!」と思っていました。
そしてこの水で、全てのイチゴを一つぶずつ、刷毛をもった手で染めてゆくんですね。とうとう全て染め上げた時突然のドラマが・・・

でも最後は悲しいお話しではないんです。どんでん返しと笑顔と達成感で終わる素敵なストーリー。ファンタジーですが、実生活に近いような…。

ずっと心に残っていて、子どもが産まれてから最初に買い求めた本の一つです。読んであげるなら4歳~とありますが、イチゴ大好きな我が家では3歳になる頃には楽しんでいました。自分で読むなら小学校初級とありますが、好きなページだけならひらがなが読めるようになってくる4,5歳からでも大丈夫と思います。そして、大人でもじんわり楽しめる絵本でもあります。私の母も今でもこの本が大好きです。

露地のイチゴが色づく季節、甘酸っぱい味と鮮烈な香りとともに、是非お子さんと一緒にいかがですか?

 
 

絵本の手助け05 〜歌の絵本〜

日本のふるさと


今日ご紹介するのは歌の絵本(1) 日本の唱歌より (講談社の創作絵本)
作曲家:芥川也寸志(編)、画家:安野光雅(絵)





安野光雅氏が描くなつかしい日本の原風景を背景に、唱歌や童謡が1ページにひとつずつ載せられた丁寧な絵本。全32曲、巻末にはメロディーラインの譜面があります。

1977年産まれの私には聞きなれない歌もあります。日本語の美しさと見事さにハッとさせられる歌も多いですね。お気に入りの歌はありますか?

  • ふるさと うさぎ追いし かの山・・・大正3年
  • 朧月夜 菜の花畑に入り日うすれ・・・大正3年
  • 牧場の朝 ただ一面に立ち込めた 牧場の朝の霧の海・・・昭和7年
  • こうま はいしいはいしい あゆめよこうま・・・明治43年
  • とんび とべとべとんび 空高く・・・昭和33年
  • 背くらべ はしらのきずはおととしの 五月五日の背比べ・・・大正12年
  • こいのぼり いらかの波と雲の波 重なる波の中空を・・・大正2年
  • 茶摘み 夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る・・・明治45年
  • 夏は来ぬ うの花のにおうかきねに ほととぎす早もきなきて・・・明治29年
  •  空も港も夜は晴れて 月に数ます船のかげ・・・明治29年
  • 汽車 今は山中今は浜 今は鉄橋渡るぞと・・・明治45年
  • 我は海の子 我は海の子しらなみの さわぐいそべの松原に・・・明治43年
  •  松原とおくきゆるところ 白帆の影は浮かぶ・・・大正2年
  • うみ うみはひろいなおおきいな・・・昭和16年
  • 砂山 海は荒海むこくは佐渡よ・・・大正11年
  • 七つの子 からすなぜなくの からすは山に・・・大正10年
  • もみじ 秋の夕日に照る山もみじ・・・明治44年
  • 冬景色 さ霧消ゆる港江の 舟に白し朝の霜・・・大正2年
  •  雪やこんこ あられやこんこ・・・明治44年
  • 雨降りお月さん 雨降りお月さん雲の蔭 お嫁にゆくときゃだれとゆく・・・大正14年
  • 証城寺のたぬきばやし しょう しょう しょうじょうじ・・・大正14年
  • 金太郎 まさかりかついで金太郎・・・明治33年
  • 桃太郎 桃太郎さん桃太郎さん お腰につけたきび団子・・・明治44年
  • うれしいひなまつり あかりをつけましょ ぼんぼりに・・・昭和11年
  • 人形 わたしの人形はよい人形 目はぱっちりといろじろで・・・明治44年
  • あの町この町 あの町この町日が暮れる 日が暮れる・・・大正13年
  • しゃぼん玉 しゃぼん玉とんだ 屋根までとんだ・・・大正11年
  • 赤とんぼ 夕やけこやけのあかとんぼ 負われて見たのはいつの日か・・・大正10年
  • 虫のこえ あれまつむしが鳴いている チンチロチンチロ チンチロリン・・・明治43年
  • かかし 山田の中の一本足のかかし・・・明治44年
  • 村祭り 村のちんじゅの神様の 今日はめでたいお祭り日・・・
  • 箱根八里 箱根の山は天下の険 函谷関もものならず・・・明治34年




もしかすると、あの人と同い年!なんて歌もあるかも知れませんね。
ふるさとが変わっていっても、子ども達に伝える歌は絶やさずにいたいものです。
 
 

絵本の手助け04 〜夢の国のちびっこバク〜


眠る子

子どもはレム睡眠が長く、大人より夢を見やすいと聞きます。
私も悪夢に悩まされるタイプの子どもでした。威勢がよい割には心配性の我が子も、残念ながら私に似たようです。人によってはかなり生活の質を落とすこの問題ですが、「どうすれば良いの?」という子の問いに応えられるか考えてみました。

ビシッと決まる特効薬はなさそうですが、対処の柱と考えたのは3点。
1.『子どもは悪い夢を見やすいので、多くの子どもが悩んでいる』という事実を伝える
2.『大きくなったら減る』『夢と戦えることもある』という希望的観測を持たせる
3.悪夢のせいで、たまに悪くないイベントも起こる経験をさせる


助けになったのは、美しい絵のこちらの絵本、
夢の国のちびっこバク』大型本–1996 高円宮妃久子(作), Brian Wildsmith (絵)
ひょんなことから、ちびっこばくのバックンを助けたゆりちゃん。2人は様々な子どもたちの悪い夢を(食べるため)探しに出かけます。大きな怪獣と戦って負けそうになったその時・・・
これで上の1,2の大部分はカバーできます。

3は、寝付けないほど強烈に夢見が悪い時は、いっそちょっと起きてしまう作戦。暖かい甘いものを飲み、毛布にくるんで膝に乗せ、絵本を読んだり絵日記を書いたり。ホクホクになったところで「また一緒に悪い夢を見たときはこうしようね!」と言って寝るのはいかがでしょうか。

『夜は起きて遊んだりしない』という生活のルールが身に付く4歳頃までは、リスキーな手かも知れません。でもあまりに悪夢が苦しい時は、子どもの心を随分軽くしてくれるようにも思えます。
正解なんてないかもしれませんが、悪い夢というハードルを、子どもたちが無事に乗り越えられますように^^


 
 

絵本の手助け03 〜あなたがだいすき〜

 日々の生活の中、子どもの心に適切に寄り添い切れる自信が・・・あまり無い親の一人です。何かあった時、子どもは上手く伝えてくれるだろうか?不安になることも。

どんな事を大人に伝えるべきなのか。伝えた事で何を期待できるのか。これらをイメージすることは、子どもには難しいことかも知れません。

大人だって、起こり得る様々な問題に対して、必ずしも適切な戦い方を知っているわけではありません。でも子どもには、必要な助けが得られるまでSOSを出し続けてほしい。

今日は、兎にも角にも、最終的には万難を排してあなたを助けに行くんだという到達イメージを期待して選んだ絵本のご紹介です。

鈴木まもる作 あなたがだいすき ポプラ社2002年
つつみ込むようなやわらかなタッチで子どもと動物達とお母さんが描かれています。

疲れた時・悲しい時・寂しい時など様々な場面で、動物たちが小さな人間の子どもをしっかりと抱きしめ、寄り添う姿が描かれています。多分動物は周囲の大人なのでしょう。

怖い鷲になって、強い恐竜になって、大勢で寄ってたかって子どもを助けに行く様子も描かれています。ページの最後では、ママが子どもを抱きしめています。あなたはこうして助けられるべき存在というイメージを、心のどこかで持っていてほしいと願っています。

 
 
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